2018 年 22 巻 3 号 p. 267-272
当園はハンセン病療養所の一つである.入所者の平均年齢は85.7歳と高齢であり,ハンセン病後遺症と老嚥のため,複雑な嚥下機能障害がみられる.また,ハンセン病療養所の特徴として,長い隔離政策の影響により家族の関係が希薄である場合が多い. 症例は99歳男性.2011年から6年にわたって経過を追うことができ,「口から食べる」を支えたことが家族の関わりにも変化をもたらした1例を経験したので報告する. 今回の経験から,認知症患者の終末ケアには,①認知症にはさまざまな症状があり,進行性で予後が良くない疾患であると理解し,②患者の経時的な変化を家族が把握し,③患者と家族がともに過ごせる機会を大切にし,④「口から食べる」を支えるための工夫や努力を続け,⑤相談しやすい環境を整えることが大切であると考えた.