日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
誤嚥性肺炎患者の中長期的生命予後と予後因子
塚谷 才明, 小林 沙織, 金原 寛子, 山本 美穂, 長東 菜穂, 酒井 尚美, 中村 さおり, 小林 孝行, 兼田 美紗子, 牧野 桜子, 赤田 拓子, 岡部 克彦, 小森 岳, 高塚 茂行
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2020 年 24 巻 3 号 p. 247-257

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抄録

【目的】誤嚥性肺炎患者の中長期的な生命予後に関する報告は少ない.この研究の目的は,誤嚥性肺炎患者の中長期的生命予後ならびに予後因子を明らかにすることである.

【方法】本研究は,後方視的に検討したコホート観察研究である.2018 年4 月から2019 年3 月までの1 年間,耳鼻咽喉科に嚥下評価依頼のあった症例のうち,主病名が誤嚥性肺炎の入院患者を対象とした.脳血管障害急性期に続発した誤嚥性肺炎例,嚥下評価前の肺炎急性期に死亡した例は対象外とした.生命予後に関係する因子として,年齢(3 群:74 歳以下,75 歳から89 歳,90 歳以上),性別,嚥下障害重症度(2 群:正常~機会誤嚥,水分誤嚥~唾液誤嚥),日常生活自立度(2 群:非寝たきり,寝たきり),BMI(3 群:18.5 以上,18.5~16,16未満),代替栄養の有無,既往症・併存症(肺炎既往,脳梗塞既往,パーキンソン病,認知症,高血圧,糖尿病)に関して多変量解析を行い,ハザード比(HR)を求めた.患者生死,生存日数,代替栄養導入の有無に関しては,2020 年1 月から4 月の期間,電話による聞き取り調査を行った.

【結果】誤嚥性肺炎患者は109 例,年齢中央値86 歳,64 歳以下は5 例のみで104 例は65 歳以上であった.調査期間内の死亡67 例,生存42 例,生存期間中央値254 日,6 カ月生存率54.8%,1 年生存率41.8% であった.予後因子のHR は高齢1.76,男性1.78,水分誤嚥以下の嚥下機能2.01,寝たきり2.39,BMI 低値1.60,代替栄養導入あり0.27 と,6 項目すべてにおいて有意差を認めた.既往症・併存症では,パーキンソン病があると生命予後悪化を認めた(HR5.00)が,その他は有意差を認めなかった.

【結論】誤嚥性肺炎患者の半数以上が1 年の時点で死亡していた.高齢,男性,水分誤嚥以下の嚥下機能,寝たきり,BMI の低下が生命予後を悪化させる因子であり,代替栄養の導入は生命予後を改善した.既往症・併存症のうちパーキンソン病は生命予後を悪化させた.

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© 2020 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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