日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
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短報
固形物の食事提供の可否判断を目的とした,嚥下造影検査における4 項目に絞ったスコア評価基準の信頼性の検証
神崎 憲雄百木 朱音坂口 智恵美小松 紋未佐藤 みづき松本 元美
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2023 年 27 巻 2 号 p. 128-135

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抄録

【目的】固形物の食事提供の可否判断を目的とした,嚥下造影検査(VF)における4 項目に絞ったスコア評価基準の信頼性についての検証を行い,評価項目が不十分であった部分を補足にて修正した.

【対象と方法】対象は2022 年3 月から5 月までに,当院でVF を行った10 例である.検査対象食物にはゼリーを用いた.「 ① 咀嚼(咀嚼様運動)・舌の動き」,「 ② 口腔から咽頭への送り込み」,「 ③ 嚥下反射の惹起性」,「 ④ 嚥下による咽頭クリアランス」の4 項目につき,それぞれ0 点(正常)~ 3 点(重症)で評価した.1 回の検査において,言語聴覚士2 名,看護師1 名,管理栄養士1 名,放射線技師1 名の5 名を評定者とし,医師1 名を基準者とした.評定者5 名と基準者1 名,計6 名の評定者間の同等性および評定者5 名と基準者との同等性を検証した.

【結果】評定者5 名と基準者1 名,計6 名の評定者間の同等性は,① r=0.54,② r=0.35,③ r=0.50,④ r=0.73 であった.評定者5 名と基準者との同等性は,① r=0.66,② r=0.43,③ r=0.62,④ r=0.77 であった.

【考察および結論】 ④ は高い信頼性が確かめられた.しかし,①,③ は,相関は認めたが,強い相関ではなく,② は弱い相関に留まった.評価項目が不十分,評価判定が困難,あるいは定義が曖昧であったと判断した部分を,補足として項目を追加することで修正を行い,信頼性を高める工夫が必要となる結果となった.信頼性の検証を行うことで,一連の嚥下運動で起こり得る事象を再認識することができた.

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© 2023 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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