抄録
【目的】「なごみまる」は収量や耐倒伏性などの農業特性に優れた品種として開発された低アレルゲン大豆で、現在アレルギーリスクの低い大豆製品の開発が進められているが、タンパク質以外の大豆の特徴的成分である脂質やイソフラボンについて未だ分析がなされていない。そこで本研究では、「なごみまる」の脂質含量、脂肪酸組成、イソフラボン含量を調べ、あわせて「なごみまる」を原料とした味噌のイソフラボンの定量および官能評価を行うことを目的とした。
【方法】脂質含量の定量および脂肪酸組成分析は五訂日本食品標準成分表分析マニュアルに即して行った。イソフラボンはHPLCによって定量を行った。官能検査は湯12mLに対し味噌1gの比率で味噌汁を調製し、色、香り、味について評点法により評価した。
【結果】「なごみまる」の脂質含量は「なごみまる」の母系である普通大豆「タチナガハ」に比べてやや低値を示した。脂肪酸組成については、「なごみまる」のオレイン酸、パルミチン酸含量が少ない傾向にあったが、いずれも大豆の品種や栽培条件に起因すると考えられている脂質含量や脂肪酸組成の変動の範囲内にあった。イソフラボン含量については両者に有意な差は認められず、なごみまるのイソフラボンの面からみた機能性は普通大豆と同等と考えられる。「なごみまる」から調製した味噌のイソフラボン組成は対照に用いた普通大豆味噌の組成と大差はなかった。また、色、味、香りの評価および嗜好性評価は、普通大豆味噌に比べてむしろやや良好であるとの結果が得られ、大豆アレルギー患者用食品として十分に有用性があるものと考えられる。