【緒言】COVID-19 感染症による入院加療中に誤嚥性肺炎を来し絶食となった患者に対し,嚥下造影検査(Videofluoroscopic examination of swallowing: VF )にて頸椎椎体骨棘により喉頭蓋の反転不良・食塊の梨状窩通過障害を認めた.更に嚥下内視鏡検査(Videoendoscopic examination of swallowing: VE)で評価したところ,姿勢調整と代償嚥下法により固形食摂取を実現できたため報告する.
【症例】病前より固形食の嚥下困難感がある80 代前半男性.COVID-19 で入院し,投薬により体調は安定したが,誤嚥性肺炎を合併した.リハビリテーション目的で当院入院となった.
【経過】当初は絶食状態であり,VF を施行した.その際,頸椎椎体骨棘(C4~6 付近)を認め,喉頭蓋の反転を阻害し,食塊の梨状窩通過も不良であった.外科手術は行わず,段階的摂食訓練を開始した.また,VE 下にて代償嚥下方法を検討し,前傾姿勢とChin down を行うことで残留量を軽減できた.また, とろみなし水分の交互嚥下で残留物を安全に軽減できた.残留物は自己喀出可能であった.前傾姿勢+Chin down,とろみなし水分を使用した交互嚥下,嚥下後の自己喀出を組み合わせ,普通食を3 食経口摂取可能となり,自宅へ退院した.
【考察】嚥下障害の主要因は神経学的なものではなく,頸椎椎体骨棘によるものと推察し,代償嚥下法の効果を見込めると考えた.前傾姿勢とChin down により咽頭腔の変形を促し,残留量を軽減できた.加えて交互嚥下と自己喀出を組み合わせることで,誤嚥・窒息リスクを軽減でき,固形物摂取を実現できたと考える.嚥下障害の主要因の考察と,リスク軽減のための手段の検討が重要であると改めて認識した.