日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
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Print ISSN : 1343-8441
短報
とろみ液が錠剤の崩壊性に与える影響
―キサンタンガムおよびグアーガム系とろみ剤の比較―
松尾 泰佑
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2024 年 28 巻 2 号 p. 79-82

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抄録

 嚥下困難者は,錠剤を服薬する際にとろみ調整製品(とろみ剤)を溶解したとろみ液を使用することがあるが,とろみ液の錠剤への接着や錠剤内部への侵入により錠剤の崩壊遅延や未崩壊が起こり,十分な薬効が得られない場合もある.とろみ剤は,増粘剤としてキサンタンガムやグアーガムがよく使用される.マグミット® 錠(酸化マグネシウム錠)はキサンタンガムよりもグアーガム系とろみ剤の方が崩壊遅延しやすいことが明らかにされているが,各とろみ剤が他の錠剤の崩壊性に与える影響の違いは不明である.本研究では,キサンタンガムおよびグアーガム系とろみ剤によるとろみ液が8 種類の錠剤の崩壊時間に与える影響を比較した.その結果,キサンタンガム系とろみ剤で崩壊遅延が起きやすい錠剤が1 種類あったが,7 錠剤はとろみ剤による崩壊時間に差は見られなかった.従って,とろみ液による錠剤の崩壊遅延には,とろみ剤による差は生じないことも多く,差が生じる場合には,とろみ剤の種類だけではなく,錠剤の性質も関与していると示唆された.

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© 2024 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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