日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
舌骨上筋群に対する訓練方法の違いが嚥下関連筋群の筋活動量に及ぼす影響
岡野 雄二福岡 達之橋本 幸成坂口 紅美子奥田 正作丸吉 康太
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2025 年 29 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

 【目的】本研究では,開口運動,頭頸部屈曲運動とそれぞれに抵抗を加えた4 種類の訓練課題を用いて,舌骨上筋群に対する訓練方法の違いが嚥下関連筋群の筋活動量に及ぼす影響について検討することを目的とした.

【方法】健常成人33 名(男性20 名,女性13 名),平均年齢33.8±6.9 歳を対象とした.方法は,開口訓練 (Jaw opening exercise: JOE) ,開口抵抗訓練(Resistive jaw opening exercise: RJOE),頭部挙上訓練(Head lift exercise: HLE),嚥下おでこ体操,の4 種類の訓練課題を行った時の舌骨上筋群,舌骨下筋群および胸鎖乳突筋の筋活動を表面筋電図で記録した.各訓練課題の運動開始から終了において,安定した等尺性収縮の5 秒間を解析区間とし,各被験筋の筋電波形から最大振幅値と平均振幅値を算出した.

【結果】舌骨上筋群の最大振幅値および平均振幅値はRJOE が最も高い値を示し,JOE およびHLE との間に有意差はなかったが,嚥下おでこ体操との間で有意差を認めた.舌骨下筋群および胸鎖乳突筋の最大振幅値および平均振幅値ではHLE が最も高く,RJOE およびJOE との間で有意差を認めた.

【結論】開口運動を利用した訓練法(JOE, RJOE)では,舌骨上筋群の筋活動が高い一方で,舌骨下筋群や胸鎖乳突筋の活動は低かった.頭頸部屈曲運動を利用した訓練法(HLE, 嚥下おでこ体操)では,舌骨上筋群,舌骨下筋群だけでなく,胸鎖乳突筋の活動も高かった.訓練方法によって舌骨上筋群,舌骨下筋群,胸鎖乳突筋の活動は異なるため,嚥下関連筋群への筋力増強訓練を行う際には,症例の嚥下障害の状態と身体能力に応じ,開口運動と頭頸部屈曲運動を利用する訓練法の選択,または組み合わせて実施することで,効果的な嚥下リハビリテーションの提供が可能になると考える.

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© 2025 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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