日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
急性期脳卒中患者に対する Assessment of Swallowing Ability for Pneumonia の摂食嚥下機能評価としての有用性の検討
天白 陽介大森 政美渡邉 哲小黒 秀樹辰巳 寛長神 康雄
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2025 年 29 巻 2 号 p. 51-60

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抄録

 【目的】脳卒中急性期では高率に摂食嚥下機能障害を呈することが知られており,早期から退院時の摂食嚥下機能を予測し,目標に向けたリハビリテーションや,早期からの代替栄養を検討することは重要である.しかし,簡便かつ,摂食嚥下機能障害に精通しない医療者でも容易に実施可能な評価法は少ない.そのため,我々は高齢者肺炎の摂食嚥下機能法として開発され,医療従事者であれば誰でも簡便に定量化した評価が可能であるAssessment of Swallowing Ability for Pneumonia(ASAP)を用い,急性期脳卒中患者に対する摂食嚥下機能評価法としての有用性を検討した.

【方法】対象は2023 年1 月から12 月までの間,名古屋掖済会病院へ脳卒中で入院し,言語聴覚士による評価が可能であった211 名(中央値:75 歳 男/ 女:130/81)とした.評価項目は患者一般情報,脳卒中に関する諸情報,栄養評価,ASAP を含む摂食嚥下機能評価,認知機能検査,ADL 評価,体格評価とした.統計学的解析は退院時Functional Oral Intake Scale(FOIS)を目的変数,先行研究において交絡因子と予測された項目を説明変数とした順序ロジスティック回帰分析を用いて検討した.関連する因子に対してROC 曲線を用い,退院時嚥下食経口摂取可否(FOIS:4 以上),普通食経口摂取可否(FOIS:6 以上),それぞれを予測するカットオフ値,曲線下面積,感度,特異度を算出した.

【結果】順序ロジスティック回帰分析の結果,年齢(オッズ比:0.951,95% 信頼区間:0.917–0.984,p=0.005),ASAP(オッズ比:1.110,95% 信頼区間:1.080–1.150,p<0.001),Barthel Index(オッズ比:1.010,95% 信頼区間:1.000–1.030,p=0.021)が,関連する因子として抽出された.退院時の嚥下食経口摂取・普通食経口摂取とASAP におけるROC 曲線はそれぞれ,カットオフ値:63,曲線下面積:0.968,感度:92%,特異度:90% とカットオフ値:86,曲線下面積:0.948,感度:91%,特異度:92% であった.

【結論】ASAP は急性期脳卒中患者の摂食嚥下機能を簡便に評価しうる可能性が示唆された.

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