2025 年 29 巻 2 号 p. 61-71
【目的】誤嚥性肺炎の発症及び重症化の危険因子として,低栄養と摂食嚥下障害が報告されている.誤嚥性肺炎患者における摂食嚥下機能を摂食状況のレベル(food intake level scale: FILS)で3 群に分類し,エネルギー摂取量と転帰との関連を明らかにすること.また,Global Leadership Initiative on Malnutrition(GLIM)基準を含めた栄養関連項目と生存退院との関わりを明らかにすることである.
【対象・方法】65 歳以上の誤嚥性肺炎入院患者115 例(男性76 例,女性39 例)とした.FILS ごとに3 群(経口摂取なし群,代替栄養併用群,経口摂取のみ群)に分類し,エネルギー摂取量,GLIM 基準との関連を調査し,生存退院に関する影響を評価した.
【結果】FILS ごとの分類では,経口摂取なし群32 例(27.8%),代替栄養併用群23 例(20%),経口摂取のみ群60 例(52.2%)であった.体重1 kg あたりの摂取エネルギー量(kcal/kg)は,経口摂取なし群14(6.9–21.3)kcal/kg,代替栄養併用群13.3(8.6–19.3)kcal/kg,経口摂取のみ群20.6(15.6–25.9)kcal/kg で,経口摂取のみ群は,経口摂取なし群および代替栄養併用群と比較して有意に高かった(p<0.01).GLIM基準の内訳として,重度低栄養60 例(52%),中等度低栄養34 例(30%),低栄養なし21 例(18%)であった.FILS で3 つに分類した場合の栄養状態は,経口摂取なし群は,重度低栄養24 例(75%),中等度低栄養5 例(16%),低栄養なし3 例(9%)であった.経口摂取のみ群は,重度低栄養25 例(42%),中等度低栄養23 例(38%),低栄養なし12 例(20%)で,FILS とGLIM基準において有意な関連がみられた(p<0.05).生存退院は,経口摂取なし群19例(59.4%),代替栄養併用群18例(78.3%),経口摂取のみ群53例(88.3%)で,経口摂取のみ群は,経口摂取なし群と比較して,生存退院が有意に多かった(p<0.01).生存退院に対する多変量解析を行った結果,体重1 kg あたりの摂取エネルギー量(OR: 1.09,95%CI: 1.01–1.17,p<0.01)において有意な関連がみられた.
【結論】誤嚥性肺炎患者において,摂取エネルギー量と生存退院に有意な関連がみられた.経口摂取のみ群では,摂取エネルギー量が有意に高値な結果となったことから,FILS や摂取エネルギー量を評価する重要性が示唆された.