1999 年 3 巻 1 号 p. 34-39
寒天を基剤としイオパミドールを含有する嚥下機能の検査食を試作した.イオパミドールを使用することで,従来の消化管造影剤に比べて安全性が向上したと考えられる.またイオパミドールを1/2濃度にしても造影性の低下はわずかで,画像解析に支障は無いことが確認された.さらに本検査食では物性を規格化することが可能である. 今回は付着エネルギーの低い食材で,硬さの異なる6種類の試験食品を試作した.その硬さは検査食1から順にそれぞれ,2.20×102N/m2,6.53×102N/m2,2.90×103N/m2,7.49×103N/m2,1.09×104N/m2,1.86×104N/m2であった.口腔癌患者1例に応用したが,硬さの相違により誤嚥や咽頭部への貯留の程度に明らかな相違が見られた.そのため,本検査食は食物の物性と嚥下機能との関連を検討するために有用であると考えられた.