1999 年 3 巻 1 号 p. 40-44
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会会員を対象に,摂食・嚥下リハビリテーション(以下摂食・嚥下リハ)の現状を知るために,2度目のアンケート調査を実施した.今回は,第1次調査で「自施設にて摂食・嚥下リハを行っている」と回答のあった施設を対象とし,186施設からの回答を得た。回収率は63%であった. 摂食・嚥下リハを行う際の問題点として,「検査が不十分」という回答が最も多かった.実際に実施されている評価をみるとvideofluorography(VF)は約半数の施設でしか行われておらず,何の評価も行っていない施設も存在した.一方,摂食・嚥下リハに伴う危険として,誤嚥は高く意識されているにもかかわらず,脱水や低栄養への認識は低く,危険に対する認識の偏りがみられた. 関与する職種数から,歯科・医科診療所では1-2職種でリハに取り組むことが多く,その他の施設では3職種以上の複数職種で取り組んでいた.また各職種の役割分担をみると,評価では医師とST,治療ではST,看護婦が多く関与していた.また,PTは間接訓練,OTは先行期訓練に関与し,チームリーダーとなるのは医師が多かった.このことから,多くの施設でチームアプローチが行われており,各職種の専門性を生かした役割分担がなされていることが明らかになった.また,一連の調査結果から,多くの施設が不十分な検査に不安を覚えながらも訓練を行い,一方で危険に対する認識が不足している現状が明らかになった.そして簡便な機能テストの確立と普及,地域における施設問の連携の確立が今後解決されるべき課題として示唆された.摂食・嚥下リハビリテーション学会を中核とした,活発な活動が望まれる.