日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
臨床報告
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会会員の動向
―第3報 1997年から1999年までの3年間の変化―
竹内 千年小口 和代小野木 啓子才藤 栄一
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2000 年 4 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

 全国の摂食・嚥下リハの普及の状況を知るため,1999年10月31日時点で会員名簿に登録されている2928名を対象とし,摂食・嚥下リハ学会員の構成について地域別,職種別に注目してその動向を分析した.また,同時に1997年から1999年の3年間の変化についても検討した. 総会員数は2928名で,前年度より517名と大幅に増加していた.地域別では,全体に占める割合の上位3位は,関東46.3%,中部14.0%,関西11.1%であった.また,人口10人当たりの会員数は,最多の関東と最少の北海道との間に約3倍の開きがあり,前年度とほとんど変化がなく地域間の格差が存在した.今後の摂食・嚥下リハ学会の活動により,摂食・嚥下リハの普及の地域格差を改善することが期待される. 職種別では,上位3職種は前年度と同じく言語聴覚士584名,歯科医師533名,看護婦453名であった. 3年間の変化を見ると,会員数の多い職種は言語聴覚士,歯科医師,看護婦であった.なかでも歯科医師と言語聴覚士の会員数の増加が目立った.会員数の増加率では,歯科医師,栄養士,医師,言語聴覚士の順に高く,幅広い職種で摂食・嚥下リハへの関心が高まっていることが裏付けられた. 今後,さらに増加することが予想される摂食・嚥下リハに取り組む歯科医師,歯科衛生士が,地域の摂食・嚥下リハの中心的な役割を担っていくためには,歯科診療所と病院との連携が重要である.また,今年4月から施行される介護保険制度において,摂食・嚥下障害は介護に関わる留意点として取り上げられている.それに携わる介護関連職種への摂食・嚥下リハ教育は,摂食・嚥下リハ学会に課せられた重要な課題である.

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© 2000 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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