2004 年 8 巻 1 号 p. 3-9
異職種のスタッフが協働するリハビリテーション医療では,チームアプローチの視点はとくに大切である.本稿では,効果的なチームアプローチに向けての基盤的事項を整理するとともに,有効と思われる方略について検討した.まず,基盤的事項として,①スタッフの能力・意欲の改善,②スタッフ間コミュニケーションの改善,③集団規範の改善という3つの観点を示した.とくに,コーチングやコンピテンシーを基軸とした能力の育成 (評価を含む),双方向コミュニケーションやアサーションの定着,ミーティング機能を上手に活用した課題の設定と解決,そして前向きの集団規範づくりなどを検討した. 次に,チームアプローチにおけるリーダーの役割の重要性にふれ,その行動原則を6つほど示した. 最後に,チームアプローチを一段と効果的に導くであろう重点方策またはプログラムについて,次の2つの視点から提案を行った.一つは,クライエント・ニーズの反映にかかるもので,ニーズ把握対処の集中プログラムや学際連携プログラム,リハビリテーションカウンセラーの導入,当事者スタッフの奨めであった.もう一つは,チームアプローチの要となるリーダーおよびサブリーダーの育成にかかるもので,シカゴ大学精神科リハビリテーションセンター研修プログラムの紹介を通して,本邦において可能と思われる育成の仕組みを示唆した.