日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
臨床報告
大学病院における摂食・嚥下障害患者への対応
―摂食・嚥下機能支援外来の設立とチームアプローチの試み―
大部 一成金城 亜紀松永 和秀渡邊 和子岩永 亮子小峰 佐夜子倉田 智恵子白砂 兼光
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2004 年 8 巻 2 号 p. 167-172

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抄録

九州大学歯学部附属病院 (現 九州大学病院歯科医療センター) において2002年4月に摂食・嚥下機能支援外来が設置された.摂食・蝶下機能支援外来設立の経緯,九州大学病院内での位置づけおよび設立から現在までの活動状況について述べるとともにチームアプローチの課題,地域との連携について検討した.当院の摂食・嚥下機能支援外来チームは口腔外科,補綴科,小児歯科,歯科放射線科,予防歯科,総合診療部の歯科医師,病棟および外来の看護師, 言語聴覚土,管理栄養士で構成され,入院患者 (おもに口腔癌手術後の摂食・嚥下障害) および外来患者の評価とリハビリテーションを行っている.支援外来スタッフ間の情報の共有やスタッフ相互のコミュニケーションを充実させることがチームアプローチを行う上で重要と考え,毎月1回定例会を行っている.また,支援外来スタッフのレベルアップや院内医療従事者の啓蒙を目的として看護師や医師を対象として摂食嚥下に関する講演会や間接訓練や直接訓練の実技講習を年に3~4回主催している.限られた人数の兼任スタッフで増加しつつある患者に効率的に対応するために,毎回の診察に必要な記録様式,摂食・嚥下機能評価表,リハビリテーションの説明パンフレットなども基準になるものを作成し,スタッフが利用できるようにしている.2004年4月には九州大学病院内の医科部門と連携した摂食・嚥下障害支援体制も確立した.今後,さらに活動の幅を広げるためには院内だけでなく地域とのネットワークをさらに充実させる必要がある.また,地域や適切な施設へつないでゆく見極めも行ってゆく必要があると考えられた.

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© 2004 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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