日本災害復興学会論文集
Online ISSN : 2435-4147
一般論文
台湾における災害法制度の変遷と災害対応組織体制の現状と課題
吳 毓昌
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2017 年 10 巻 p. 1-10

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抄録

1999年9月21日午前1時47分﹑マグニチユ一ド7.3(M7.3)の集集大地震が台湾を襲った。この地震では、2,500人以上の犠牲者が出ただけでなく﹑多くの建物が倒壊するなど経済的にも自然生態系にも大きな損害と被害が発生した。その結果﹑集集大地震はこの100年間で台湾で最も大規模な地震災害をもたらした。防災の取り組みには﹑予測と予報に高度の先進的科学技術的側面とともに﹑災害被害軽減や防災活動を社会が受容して実践するという社会技術的側面がある。日本と台湾はともにユ— ラシアプレートとフィリピン海プレートの境界上に位置する島国であり﹑東アジアモンス— ン気候に属することから﹑地震や台風などの自然災害10)が多発する最も近接する隣国であるだけてなく﹑歴史的にも文化的にも両国は深い関係にあり﹑社会習慣や地域特性も共通性が高い。したがって﹑防災の取り組みには関しても日本と台湾の間には共通性があり﹑後者の社会技術8)としての防災活動の経験交流が重要な意義を持つと考えられる。特に、日本と台湾の災害法制度に基づく防災システムと組織運用に関する比較研究は重要である。ここでは﹑台湾における災害史と災害法制度の変遷を﹑次に台湾における災害対応組織と体制の現状と課題を論じ﹑台湾における災害対応組織と体制と日本のそれとの相違を比較検討する。これを踏まえて﹑日本の災害防救対応制度の良い点11)を参考にした﹑今後の台湾の災害対応制度と組織の在り方への提言を行うものである。

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