抄録
本研究では,埼玉県北部3自治体が福島県からの福島原子力発電所事故避難者を受け入れた事例において,ソーシャル・キャピタル(以下,SC)が果たした役割について明らかにし,SCの醸成を基盤とした災害に強いまちづくりについて検討した.まず,地域,年代,立場を超えた各支援者がどのように支援に関わったのかをフォーカス・グループ・インタビューを行った,そして,得られたデータについてナラティヴ分析を用いて分析した.次に,ワークショップを開催し,異なる背景をもつ支援者の経験を災害に強いまちづくりにどのように活かしていくのかについて検討した.ワークショップで得られた文字データをKJ法により分類して分析した.最後に,インタビューとワークショップで得られた参加者の証言を,【準備期】,【対応・緩和期】,【復興期】の3フェーズごとに,SCの「結束型」,「橋渡し型」,「連結型」の視点から考察し,「豊かなSCを基盤とした避難先での生活再建及び災害に強いまちづくりモデル」を構築・提案した.