日本災害復興学会論文集
Online ISSN : 2435-4147
12 巻
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一般論文
  • 東日本大震災後の災害危険区域指定プロセスを通して
    荒木 裕子, 北後 明彦
    原稿種別: 一般論文
    2018 年 12 巻 p. 1-11
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    本研究は津波災害復興における安全性検討過程の課題を考察することを目的として、東日本大震災後の災害危険区域指定の指定範囲が防潮堤の設定高さに影響を受けていることを示し、その背景にある国、県の津波対策方針を整理して岩手県と宮城県の方針の違いを示し、市町村の災害危険区域指定過程と実際の指定事例を示した。その上で災害危険区域指定の課題として、安全確保の方法の検討が地域再建の検討と分断して考えられる傾向にあったこと、また、たとえ一緒に考えられたとしても復興事業実施の自由度が低く実現する方法に乏しかったこと、加えて外力評価を中心に災害危険区域の指定が行われ減災の考え方と乖離があったことを示した。
事例研究
  • 佐藤 翔輔
    原稿種別: 事例研究
    2018 年 12 巻 p. 12-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    大規模な災害とそれによる犠牲者が発生した場合には,被災コミュニティに慰霊・鎮魂や復興を願うモニュメントが建立されることがしばしばある.本研究では,東松島市震災復興モニュメント検討委員会における震災モニュメントの検討プロセスの参与観察やプロセス中に出された委員の意見の分析を通して,プロセスの全体像やそこに見られる知見を明らかすることを試みた.その結果は,1) 検討委員会においては15の視点があったこと,2) モニュメントを検討する上では,設置場所・周辺の環境や管理の方法が主要な関心事になること,3) 提案モニュメントの選定において,参画した市民が大きな影響をもっていたことが明らかになった.
一般論文
  • 清水 美香
    原稿種別: 一般論文
    2018 年 12 巻 p. 20-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    2012年に米国ニューヨーク周辺を襲ったハリケーン“Sandy”で被災した地域の復興活動では、「レジリエンス」(resilience) の名の下様々なプログラムを通して次の大型ハリケーンや気候変動による今後の影響も大きく視野に入れて取り組んでいるのが特徴的である。特に最も被害が大きかった沿岸部の経済的に恵まれないニューヨーク市沿岸部の地域では、そうした取り組みの中で、市民が中心となって、災害時にあらためて露呈された貧困や地域の繋がりの欠如などの社会経済的な課題への取り組みも同時に行われている。本稿では、復興、レジリエンス、公共政策の関係性に焦点を当て、ニューヨークのハリケーン“Sandy”後の復興活動の具体的なプログラムおよび事例を通して、著者によるフィールドワークやインタビューを元に引き出した沿岸部地域(カナーシー地区およびロッカウェイ地区)の復興活動の実施状況を踏まえ、その関係性を検証し、浮き彫りにする。それを踏まえて結論を提示する。
  • 台湾における2009年の台風8号の被災者を例とした二次分析
    薛 欣怡
    原稿種別: 一般論文
    2018 年 12 巻 p. 30-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    本稿では、台湾の2009年の台風8号の事例を用い、災害後に被災者が受けた支援の実態および支援とソーシャル・キャピタルとの関係性に着目する。まず、被災者を高齢者と非高齢者に分け、災害直後からの3年間の間に最も必要とされる支援のニーズを把握したうえで、支援の供給面としての私的支援と公的支援のサポートを比較した結果、「情報源」、「心理面」の支援は、非高齢者が受ける確率が高く、一方、この「情報源」、「心理面」の支援は私的支援としても重要な役割を果たしていたことがわかる。さらに、「支援なし」・「情報源」・「心理面」とソーシャル・キャピタルとの関係性を検証し、今後の支援の有り方について提言したい。
事例研究
  • 福島原子力発電所事故の県外避難者受け入れ経験から
    岩垣 穂大, 辻内 琢也, 扇原 淳
    原稿種別: 事例研究
    2018 年 12 巻 p. 46-58
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    本研究では,埼玉県北部3自治体が福島県からの福島原子力発電所事故避難者を受け入れた事例において,ソーシャル・キャピタル(以下,SC)が果たした役割について明らかにし,SCの醸成を基盤とした災害に強いまちづくりについて検討した.まず,地域,年代,立場を超えた各支援者がどのように支援に関わったのかをフォーカス・グループ・インタビューを行った,そして,得られたデータについてナラティヴ分析を用いて分析した.次に,ワークショップを開催し,異なる背景をもつ支援者の経験を災害に強いまちづくりにどのように活かしていくのかについて検討した.ワークショップで得られた文字データをKJ法により分類して分析した.最後に,インタビューとワークショップで得られた参加者の証言を,【準備期】,【対応・緩和期】,【復興期】の3フェーズごとに,SCの「結束型」,「橋渡し型」,「連結型」の視点から考察し,「豊かなSCを基盤とした避難先での生活再建及び災害に強いまちづくりモデル」を構築・提案した.
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