抄録
本研究では、明治三陸津波および昭和三陸津波後における各種報告書における用語を分析することで、明治三陸津波後においては「復旧」に類する様々な用語が昭和三陸津波後においては「復旧」に統一されたこと、また明治三陸津波後における「善後」から昭和三陸津波後における「復興」へ移行したことを確認した。また、高台移転について、明治三陸津波後においては中央政府からの予算措置がないなかで宮城県が主導する形で高台移転が実施されたこと、一方昭和三陸津波後においては低利資金を用いつつ大規模な高台移転が実施されたことを確認した。両災害後における「復旧」と狭義の「復興」を明確に区分することなしに、集落の広義の「復興」を果たしていく様は、今後の災害復興にも参考になる部分が大きいといえよう。