日本災害復興学会論文集
Online ISSN : 2435-4147
一般論文
復興の歴史的展開から導き出される復興の普遍的原理
室﨑 益輝
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2020 年 15 巻 p. 29-36

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抄録
大規模な災害が相次ぐ時代を迎えている。災害の被害が多くなれば、それだけ復興のニーズが質量ともに大きくなる。その結果、復興の長期化や迷走化が起こり、被災者と被災地の負担がますます大きくなっている。その負担を可能な限り少なくするために、過去の復興事例とその教訓を考察して、次の大災害の復興に生かせる普遍的な原理を見出すことが欠かせない。そこで、わが国の明治以降の主要な災害を歴史的に考察し、復興の概念と手段についての共通原理を見出した。その概念の検討では、震災で顕在化した社会の歪みに向き合って改革をはかることの重要性を指摘した。その手段の検討では、事前復興の構えと備えが必要で、構えでは復興制度の整備が、備えでは復興人材や復興財源の確保が欠かせないことを指摘した。この歴史的考察から導き出される普遍的な原理を生かし、復興の進化が図られることを期待したい。
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© 2020 日本災害復興学会
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