抄録
本稿は、災害復興における重要な主体の1つである、地域住民が災害復興における政治的な主体となることを可能にする道具立てとして、「象徴化された復興像」という概念を新たに提起し、その実態を岩手県大槌町赤浜地区における既往研究のレビューを中心に検討を行ったものである。「象徴化された復興像」とは、災害復興という試みの目標、目的もしくは対象を、人々に共有される形で端的に表そうとしたものを指し、言語や事物といったシンボルとして形成される。大槌町の事例からは「蓬莱島」がその座にあり、短期的には、「蓬莱島」が災害復興において守るべき地域の姿として一定の共通理解を得られたために、地域住民をその保護をめぐって災害復興の議論に集わせる「象徴化された復興像」として機能したことが明らかとなった。反面で、長期的にその座を維持することの困難さも明らかとなり、現状を捉えなおすことで復興像を結びなおすことの重要性も示唆された。