本研究の目的は、地震から半年後以降、防災教育と心のケアの授業のために開発された「心理教育のためのトラウマストレス反応9項目小学生版」尺度の妥当性と信頼性を検討することである。平成28年(2016年)熊本地震(以下、熊本地震)後6か月後と11か月後に、小学校5校児童1,628名の尺度データを分析した。その結果、最尤法による探索的因子分析により固有値の減衰率から1因子構造が妥当であった。また、α係数は、.8以上であり、信頼性が確認された。9項目の素点の合計点をデータとし学校(5校)と時期(6か月後、11か月後)の2要因混合分散分析を行った結果、学校の主効果に有意な差が認められ、下位検定の結果、震度の最も強い地域の小学生のストレス得点が最も高かったことから、この尺度の基準関連性が確認された。被災地での「心のケアを組み込んだ防災教育」の実践の可能性が考察された。
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