日本災害復興学会論文集
Online ISSN : 2435-4147
一般論文
水害常襲地における住民の対応と復興に関する実態と課題に関する調査研究
スリランカにおける豪雨洪水災害を事例に
土田 亮寶 馨
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2021 年 18 巻 p. 21-32

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抄録

本稿の目的は、2017年5月にスリランカ民主社会主義共和国南西部で発生した豪雨洪水災害を対象に、サバラガムワ州ラトゥナプラ県ラトゥナプラ市における洪水被害時の住民の対応および復旧復興の実態と課題を把握することである。地域住民へのインタビュー調査の結果から、豪雨洪水災害による死者や怪我人はムッドゥワ地区では少なく、また事前の災害対策や人・物を避難させるタイミングを共有する必要があることや被災復旧・復興の労働負荷、経済的負担が慢性化する可能性が把握された。調査対象地ではこれまで親族や血縁、宗教コミュニティを中心とした地域知が平常時から機能しており、災害時でもその機能を果たしていた。水害常襲地において人々の生活をカバーするためには、地域知を利用した効果的な避難タイミングの導入とより住民のニーズに即した物資や金銭を含む外部支援が必要であると考えられる。

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