2014 年 6 巻 p. 1-8
本論文では、経済学の観点から「復興感」を定義し、その決定要因と被害有無による復興感の差を検討した。その結果、所得と住宅の再建が被災者の生活復興感を高める上で、重要な要因になっていることが確認できた。また、直接的な被害に見舞われている被災者は、所得や住宅と同様に、家族や親戚が生活の復興感を支えている大きな要因になっていることが明らかになった。最後に、本稿の分析を通して同じ被災地域に生活している住民の間にも、直接的な被害に見舞われているか否かによって生活復興を考える基準が異なっていることがわかった。この点は今後の復興政策を考える上で重要な視点であると思われる。