抄録
動脈硬化の画像診断には、種々の手法が増加しているが、健診で利用されるのはその一部である。主流である頸動脈超音波検査や、最近注目されつつあるMRA、CTなどを用いた動脈硬化の画像診断も述べる。
頸動脈超音波検査:非侵襲性、簡便性では優れている。我々の健診での成績でも、IMTが1.1 mm以上をIMT肥厚とし、これを年齢・性別・BMI・体脂肪率・腹囲・収縮期血圧・拡張期血圧・HDL-C・LDL-C・LDL-C/HDL-C比・中性脂肪・空腹時血糖・HbA1cにて検討した。ロジスティック回帰分析を行うと年齢、性別のみがプラークと相関した。メタアナリシスでは、心血管イベントや脳血管障害とプラークとの関連性も報告されている。
MRによるプラークイメージングは破裂の危険性のある不安定プラークの検出が試みられ、おもに頸動脈および大動脈で行われている。非造影MRIでも評価できることから、他の画像診断に比べ、MRが優れているとされている。特に、頸動脈の線維性被膜、プラークの脂質成分やプラーク不安定性指標のプラーク内出血、石灰化の確認が可能とされる。
CTおよびFDG-PET:CTはカルシウムを含むプラークの検出に優れており、心血管イベントの予測に用いられる。CTでも、線維化プラークと脂肪を多く含むプラークとを鑑別可能とする報告もあるが、MRよりは検出感度は劣る。FDG-PETによる動脈硬化の画像診断も行われている。頸動脈においてもPETにて血栓の描出は可能であるが、MRほど明瞭ではない。
最近の動脈硬化の画像診断について述べてきたが、これらが健診でも有用かは、その利便性やこれらの動脈硬化の診断法が心血管イベントなどの減少・予後に寄与するものかを明らかにする必要がある。