日本災害復興学会論文集
Online ISSN : 2435-4147
6 巻
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一般論文
  • 東日本大震災の被災地住民アンケート調査から
    李 永俊, 永田 素彦, 渥美 公秀
    原稿種別: 一般論文
    2014 年 6 巻 p. 1-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    本論文では、経済学の観点から「復興感」を定義し、その決定要因と被害有無による復興感の差を検討した。その結果、所得と住宅の再建が被災者の生活復興感を高める上で、重要な要因になっていることが確認できた。また、直接的な被害に見舞われている被災者は、所得や住宅と同様に、家族や親戚が生活の復興感を支えている大きな要因になっていることが明らかになった。最後に、本稿の分析を通して同じ被災地域に生活している住民の間にも、直接的な被害に見舞われているか否かによって生活復興を考える基準が異なっていることがわかった。この点は今後の復興政策を考える上で重要な視点であると思われる。
事例研究
  • 大谷 順子
    原稿種別: 事例研究
    2014 年 6 巻 p. 9-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    ニュージーランドのクライストチャーチ近郊にあるリトルトン付近を震源として2011 年2月22 日に発生し たカンタベリー地震では186 人が犠牲となり、そのうち28 人は日本人留学生であった。犠牲者の数だけを比 べると、他の大地震とは比較にならないほど小規模にも見える。しかし、地域のシンボルであるクライストチ ャーチ大聖堂の倒壊、市の中心部全域に及ぶ壊滅的な被害による地域経済活動への打撃、続く余震、液状化による住宅被害と深刻な状況であり、2 年以上が経過した2013 年8 月現在も市民は先の見えない不安を抱え、地域全体が疲弊した状態のままである。震災の犠牲者数だけでは測れない人的被害の影響があるといえる。本稿では、ニュージーランド国クライストチャーチの被災地における復興支援において、他国の被災地と比べて特有といえる「保険」の問題と、「仮設住宅」の不在の2 点について取り上げる。再保険会社のデータから見ると、保険による損失補償額については、カンタベリー地震は世界の災害の中でも何万人もの犠牲者を出した他の地震を上回る。これは災害保険カバー率が9 割以上と極めて高いことに由来する。その一方、保険に関連する交渉と手続きの待ち時間が続き、住宅の再建はむしろ遅れていることが明らかになった。また、日本などの被災地で建設されている仮設住宅というものがほとんど存在しない。仮設住宅の提供は極めて限定的であるのだが、被災者への手厚い公的支援が試みられていることがカンタベリー地震の復興の特徴と言える。
一般論文
  • 新潟県長岡市川口木沢地区の事例
    宮本 匠, 草郷 孝好
    原稿種別: 一般論文
    2014 年 6 巻 p. 22-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/11/05
    ジャーナル フリー
    本論文は、災害復興の評価として、地域住民が主体となって自らの生活や活動を評価し、それを生活改善や活動のふりかえりに還元していく地域生活改善プロセス評価手法を実施し、その意義や有効性について考察したものである。評価活動を実施したのは、新潟県中越地震によって被災した新潟県長岡市川口木沢地区である。まず、地域生活改善プロセス評価手法の概要を説明する。そして、木沢地区における地域生活改善プロセス評価の実施過程を住民懇談会で示した2010年5月に実施した第1回のベースライン調査と2013年3月に実施した第3回調査の比較報告や住民自身の活動について紹介する。最後に、住民主体の評価手法が災害復興過程の地域復興に果たす意義や有効性を考察したのち、本手法の災害からの地域復興への活用可能性に関する今後の展望を示す。
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