日本透析医学会雑誌
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原著
抗精神病薬使用患者に発症した横紋筋融解症 (悪性症候群を含む) による急性腎不全の検討
高橋 真司三浦 徳宣中野 吉朗武田 肇
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2007 年 40 巻 1 号 p. 67-73

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抄録

横紋筋融解症は, さまざまな原因により惹きおこされ, 放置すると急性腎不全等により致命的となる病態である. われわれは, 平成13年9月から平成16年3月までの約2年半の間に, 抗精神病薬使用患者に発症した横紋筋融解症および急性腎不全を4例経験した. 症例1は, 悪性症候群が原因で発症し, 強制利尿と血液透析 (HD) の施行で軽快し, 入院45日に転院した. 症例2は, 悪性症候群が原因と思われる症例で, 強制利尿とHDを施行したが, 40℃を超える発熱を伴い入院5日目に死亡した. 症例3は, 外傷が原因で, 強制利尿と血液濾過透析 (HDF) の施行で軽快し, 入院45日に転院した. 症例4は, 感染症および脱水が原因で発症し, 強制利尿のみで軽快し, 入院81日に退院した. 今回の4例の経験から, 横紋筋融解症に急性腎不全を併発した場合には, まず強制利尿を行い, 十分な利尿が得られない場合は即座に血液浄化療法へ移行するべきであると考えた. 血液浄化療法として, ミオグロビンの分子量から, HDではなくHDFや吸着を推奨する報告も散見されるが, 確証はない.

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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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