日本透析医学会雑誌
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原著
石川県の透析センターにおける要介護透析患者の実態
―透析看護責任者からの調査より―
林 一美
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2007 年 40 巻 4 号 p. 339-345

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抄録
石川県の透析センターにおける要介護透析患者の実態を把握することを目的とする実態調査を行った. 県内の透析センター36施設に勤務する透析看護責任者を対象に質問紙を配布し, 回答結果より, 透析看護について検討した. 要介護透析患者の30.0~42.6%は要支援・要介護1の軽症者であり, 23.7~40.7%の者が要介護2~5の, 身の回りの世話全般にわたり, なんらかの介護を要する者であった. 透析患者総人数の11.4~19.1%は移動障害があった. また透析患者で認知症状・意思疎通障害者は, 5~10%前後であった. 透析患者の81.0~90.5%が自宅通院者であった. 他施設・他病院から外来通院している患者は, 2%前後と少なかった. 以上のことから, 石川県においては, 透析患者の施設入所や他病院の受け入れは難しい状況にあり, 要介護透析患者や機能障害者は, 在宅サービス活用と家族の支援によって, できるだけ透析療養を継続していくことが必要であると明らかになった. 今後は要介護透析患者の看護において, 透析療養における在宅サービス活用と, 家族ケアの重要性に着目していくことが示唆された.
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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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