日本透析医学会雑誌
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原著
二次性副甲状腺機能亢進症に対するMaxacalcitol (オキサロール®) による静注パルス療法は臨床症状, 骨塩量の改善と副甲状腺の縮小に効果があるか
安永 親生松尾 賢三田中 弘馬場 三男中本 雅彦
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2007 年 40 巻 7 号 p. 573-579

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抄録

活性型ビタミンD3によるパルス療法は二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) における副甲状腺ホルモン (PTH) 分泌の抑制と高代謝回転骨の是正に有効である. しかし, 同療法が透析患者の臨床症状を改善し, 骨塩量の増加および副甲状腺のサイズを縮小させるかどうかについては議論が残る. 今回の研究では, Maxacalcitolを用いた静注パルス療法により, 2°HPTに典型的な臨床症状と骨塩量の改善および副甲状腺縮小の効果について1年間以上プロスペクティブに観察した. 対象は22例 (男性10例, 女性12例), 平均年齢55.6±11.3歳, 平均透析歴13.5±7.3年. 開始時intact-PTH 865±392pg/mLは48週後には409±253pg/mL (p<0.001) と約53%の低下を示し, 200pg/mL以下まで低下した症例は5例 (23%), 400pg/mL以下までの低下は10例 (45%) であった. Alpは開始時593±817IU/Lから48週後には252±135IU/Lと正常値近くに収束した. 腰椎の骨塩量 (%L2-4 BMD) は投与前87.8±14.2%から48週目には91.0±16.1% (p=0.033) と有意に改善した. 臨床症状スコアでは投与前17.3±11.8点より24週目のみで14.0±12.2点と有意に改善した (p=0.039). しかし, エコーで計測した副甲状腺総体積は投与前0.40±0.68cm3から48週目には0.49±0.76cm3 (p=0.023) と有意に増加した. Maxacalcitolによる静注パルス療法は, 全症例からみた場合には骨塩量の改善には有効であるが, 副甲状腺総体積の縮小には無効であった. しかし, intact-PTH<200pg/mL以下を安定して達成できた5例においては5%以上の腰椎骨塩量の増加と副甲状腺の縮小傾向を認めた.

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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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