日本透析医学会雑誌
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症例報告
ダブルバルーン式内視鏡にて慢性消化管出血の診断に成功した維持血液透析患者の1例
岸 誠司西岡 敬祐荒木 真荒岡 利和松村 毅河南 智晴斎田 宏竹岡 浩也
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2007 年 40 巻 8 号 p. 669-674

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抄録
症例は71歳, 女性. 糖尿病性腎症に由来する慢性腎不全のため, 2002年7月5日に血液透析導入となった. 入院時下血およびHb 4.2g/dLを認め, 上部消化管内視鏡検査および大腸内視鏡検査を施行するも出血源を同定できず. 以後も2002年10月, 2004年3月, 11月, 12月と同様の症状にて入院となり, 上部および大腸内視鏡検査, X線造影検査, およびシンチグラフィにて精査するも出血源は同定できず. 検査所見からは小腸出血が疑われ, 2005年2月に京都大学にてカプセル内視鏡を施行するも出血源は不明であった. 2005年7月に当院眼科に硝子体手術のために入院した際に再度同症状が出現. 貧血改善の後, 神戸市立中央市民病院にてダブルバルーン式内視鏡検査施行. 空腸中部に直径約10mm弱の血マメ様の発赤病変を認め, 検査時に出血は認めなかったが出血の原因と考えられた. この血マメ様の病変は動静脈奇形あるいは孤立性の静脈瘤と考えられた. 血管造影試行するも特記すべき所見なく, 後に同病変に対し内視鏡的治療を予定していたが病変は消失していたため, 経過観察することとなった.
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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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