抄録
維持透析中に汎血球減少と呼吸苦が出現したため, 入院となった54歳男性. 血液・画像検査から血球貪食症候群による播種性血管内凝固症候群と急性肺障害が疑われたが, 血液検査や培養検査ではその原疾患を特定できなかった. 骨髄検査を行ったところ, 血球貪食像とともに境界不明瞭な肉芽腫や抗酸菌を認めたことから, 粟粒結核が強く疑われた. 最終的に骨髄液のPCRと免疫クロマトグラフィー法および気管支肺胞洗浄液の培養によって粟粒結核と診断された. 結核は維持透析患者における重要な感染症であるが, 肺外結核など非典型例が多く, 診断が難しい. 適切な治療による予後の改善が望めるため, 血球貪食症候群の原因疾患として結核は早期に鑑別しなければならない.