日本透析医学会雑誌
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原著
新しい実血流量測定法(CRIT-2点法)の考案
江口 圭小田 順一角田 飛鳥金野 好恵山田 祐史金子 岩和峰島 三千男
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2008 年 41 巻 2 号 p. 127-131

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抄録
血液透析中の血流量は,透析効率に影響を与える因子として重要である.しかし,常に血液ポンプの設定値どおりの流量が得られているとは限らない.そこで今回,JMS社製のヘマトクリットモニタ(CRIT-LINE)を使用し,除水に伴うダイアライザ前後のヘマトクリット変化を測定することで,実際に灌流している真の血流量(実血流量)の測定法を考案した.十分な前処理を施した牛血液5Lを用いてin vitro実験を施行し,本法の測定精度を評価した.実験では臨床を模擬した閉鎖循環回路系を構築し,まず初めに実験に使用するCRIT-LINEモニタ間の測定誤差を調査した.次に補正法を導入してCRIT-LINEモニタ間の誤差を相殺した測定値をもとに,本法で求めた血流量(QB-crit)と実際にメスシリンダにて計量して求めた血流量(QB-real)を比較した.両者の関係をプロットするとほぼ同一線上に分布し,良好な測定精度が確認された.QB-realに対するQB-critのずれ幅を誤差率にて評価すると,誤差率は±10%以内にとどまった.今後,透析装置への内蔵,自動化した補正プログラムの構築,実血流量低下に応じた警報システム開発などが課題である.
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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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