日本透析医学会雑誌
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41 巻 , 2 号
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総説
原著
  • 津田 圭一, 今村 吉彦, 芝本 隆
    2008 年 41 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    目的:透析液ブドウ糖濃度と血糖値を考慮すると理論的には血糖値が透析液濃度を下回ることはないが,透析中に低血糖症状を訴える症例を経験する.この原因は生体側の因子が関与すると考え,血糖動態と赤血球の関係について検討した.方法:1.基礎検討:生理食塩水1,000mLを流量100mL/minでダイアライザー血液側に120分再循環し,経時的にブドウ糖濃度を測定した.透析液ブドウ糖濃度は0,100,150mg/dLを用い,ダイアライザーAPS-15Sを使用した.2.臨床検討:対象は慢性維持透析患者42例(NIDDM群18例,IDDM群6例,CGN群18例)で,透析液ブドウ糖濃度150mg/dL,ダイアライザーAPS-15S,血液流量150~200mL/min,透析液流量500mL/minである.1) 開始時と2時間後にダイアライザー入口部より採血した.採血した赤血球成分1mLに0.5%ブドウ糖溶液0.5mL注入した.コントロールとして生理食塩水0.5mLを注入した.37℃で保持し経時的に血糖測定した.2) ダイアライザー内血糖動態観察のため,ダイアライザー出入口の血糖を経時的に測定した.結果:1.透析液ブドウ糖濃度0mg/dLで血液側への拡散はなく,100,150mg/dLでは30分後から血液側と透析液側のブドウ糖濃度は一致した.2-1) 開始10分後の赤血球に0.5%ブドウ糖溶液添加時の血糖値はNIDDM群1.8%,IDDM群-4.5%,CGN群4.1%で,生理食塩水添加時は3群で異なった変動を示した.開始2時間後は0.5%ブドウ糖添加時でNIDDM群-3.8%,IDDM群4%,CGN群-4.3%だった.2-2) 3群とも出口部の血糖値は透析液ブドウ糖濃度を下回った.結語:NIDDM群,IDDM群,CGN群では血糖動態は異なり,IDDM群の血糖値低下の機序に赤血球の関与が考えられた.
  • 宮川 浩之, 落合 秀樹, 仁田坂 謙一, 池田 雅人, 中尾 正嗣, 山口 雄一郎, 川村 仁美, 平野 景太, 小此木 英男, 早川 洋 ...
    2008 年 41 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    これまでにわれわれは,白血球系細胞除去療法のうちG-CAPとL-CAPが同様に潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)の末梢血液中の樹状細胞(dendritic cell:DC)Subset比率に影響を与えることを報告した1).今回,UCで増加する病因細胞をスクリーニングするため,UC症例と健常人で末梢血樹状細胞のサブセット解析を施行した.総樹状細胞(Total DCs)は末梢血有核細胞の4 color FACS解析によりLineage marker(CD3, CD14, CD16, CD19, CD20 and CD56)陰性,かつHLA-DR陽性の細胞として同定され,このTotal DCsはさらにCD11CとCD123の反応性によりDC1,DC2,less differentiated DC:ldDCの各DCサブセットに分類された.末梢血液中のFACS解析の結果,DC SubsetのうちldDCについては吸着療法施行前のUC患者では健常者に比較して有意に増加していた(p<0.03).次にldDCがUCの活動性調節細胞である可能性を検討するため,DC細胞数に影響を与える免疫抑制剤(グルココルチコイド)投与量を一定(30±10mg/body)に保ったうえで白血球系細胞吸着療法(L-CAP 6例,G-CAP 6例)を施行したUC症例12例(男性3例,女性9例)を対象に,各DC Subsetの経時変化を検討した.12例中,瀬尾activity index 50点以上低下が得られた白血球系細胞吸着療法の有効例は8例,残りの4例は無効であった.有効例では治療経過とともにldDCは徐々に減少し,最終回には有意な低下が認められ,健常者と同等レベルまで正常化した.一方,吸着療法の無効例では,ldDCは持続高値のままで有意な変化を認めなかった.一方,DC Subsetのうち総DC数,DC1,DC2はUC患者と健常人の比較で有意差を認めず,吸着療法前後で有意な変化を認めなかった.以上から潰瘍性大腸炎で増加する末梢血液中のldDCは,免疫抑制剤の投与量変更なしで白血球系細胞吸着療法により臨床症状とともに正常化することから,UCの活動性調節細胞である可能性が示された.
  • 江口 圭, 小田 順一, 角田 飛鳥, 金野 好恵, 山田 祐史, 金子 岩和, 峰島 三千男
    2008 年 41 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析中の血流量は,透析効率に影響を与える因子として重要である.しかし,常に血液ポンプの設定値どおりの流量が得られているとは限らない.そこで今回,JMS社製のヘマトクリットモニタ(CRIT-LINE)を使用し,除水に伴うダイアライザ前後のヘマトクリット変化を測定することで,実際に灌流している真の血流量(実血流量)の測定法を考案した.十分な前処理を施した牛血液5Lを用いてin vitro実験を施行し,本法の測定精度を評価した.実験では臨床を模擬した閉鎖循環回路系を構築し,まず初めに実験に使用するCRIT-LINEモニタ間の測定誤差を調査した.次に補正法を導入してCRIT-LINEモニタ間の誤差を相殺した測定値をもとに,本法で求めた血流量(QB-crit)と実際にメスシリンダにて計量して求めた血流量(QB-real)を比較した.両者の関係をプロットするとほぼ同一線上に分布し,良好な測定精度が確認された.QB-realに対するQB-critのずれ幅を誤差率にて評価すると,誤差率は±10%以内にとどまった.今後,透析装置への内蔵,自動化した補正プログラムの構築,実血流量低下に応じた警報システム開発などが課題である.
  • 中山 大, 石井 敦, 中野 広文
    2008 年 41 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    目的:相対的低ナトリウム透析液を用いた血液透析(LSHD)は,高血圧を合併した維持透析患者に対する治療法として確立されている.しかしながら基準体重変動に依存しない,循環血液量非依存性降圧機序に関しては十分な検討がなされていない.方法:25症例の安定した高血圧合併維持透析患者において,通常の維持透析に引き続きLSHDを施行し,各々12週の観察期間後に非観血的24時間自由行動下血圧測定と心臓超音波検査を行い心負荷指標の比較を行った.結果:LSHD期には同じ基準体重設定であるにもかかわらず収縮期血圧(178±17mmHgから157±19mmHg,p<0.01)および拡張期血圧(91±10mmHgから84±11mmHg,p<0.01)に有意な低下が認められ,左室容積指標にはLSHDの影響が認められなかった.後負荷指標である動脈実効エラスタンスはLSHD期に有意な低下を示した(2.07±0.75mmHg/mLから1.65±0.49mmHg/mL,p<0.01).結論:LSHDは高血圧合併維持透析患者において有効な降圧効果を示し,その機序として循環血液量非依存性の交感神経活性抑制に伴う血管抵抗低減が関与した可能性が示唆された.
症例報告
  • 小林 さつき, 倉林 和隆, 加家壁 健, 小磯 博美, 田村 茂生, 内藤 美幸, 若松 良二, 植木 嘉衛
    2008 年 41 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群(myelodysplatic syndrome;MDS)を始めとする骨髄不全症候群(bone marrow failure syndrome)は,人口の高齢化に伴い患者数が増加している疾患群である.透析導入患者も年々高齢化していることより,今後,血液疾患合併の透析療法導入患者が増加することが予想される.血小板や白血球の減少,機能異常に伴う出血傾向や易感染性などのリスクが懸念されるが,腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)を選択し,継続した2例について報告する.PDカテーテル挿入術の際,事前の血小板輸血にて出血予防は可能であった.PD導入後,尿毒症や体液バランスが改善し,赤血球輸血の投与間隔延長効果が認められた.また,それに伴い患者の意欲や活動性の回復も得ることができた.血液透析(hemodialysis:HD)のように血管の穿刺や抗凝固製剤の必要がないPD療法は,血小板低値の出血傾向のある患者でも,輸血や造血促進因子製剤との併用で,継続可能と思われる.また,腹膜炎の危険を未然に防ぎ,PDを長期に継続できるよう,清潔操作の指導は,より重要と考えられる.一般に血液疾患は生命予後不良な疾患群であり,在宅で施行可能なPDは,患者のQOL改善の可能性も示唆される.
  • 中村 裕也, 中川 潤, 澁谷 あすか, 鈴木 一恵, 安藤 稔
    2008 年 41 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 2008/02/28
    公開日: 2008/10/07
    ジャーナル フリー
    全身性ループスエリテマトーデス(SLE)加療中にGoodpasture症候群を発症した症例を報告する.症例:64歳女性.1999年にSLEと診断され,最近1年間はプレドニゾロン(PSL)9mg/日の内服治療にてSLEの病状はほぼ安定していた.2005年5月8日に発熱持続のため当院救急外来を受診し入院となった.急性腎盂腎炎を疑い抗生物質の投与を開始したが解熱せず,第4病日には乏尿となった.急速な腎機能障害の出現などから急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を疑い,第6病日から血液透析治療,メチルプレドニゾロン1,000mg点滴静脈注射によるパルス療法,プレドニゾロン60mg/日の内服投与を開始した.第9病日に抗糸球体基底膜(GBM)抗体が300EU以上との結果が出たため抗GBM抗体型RPGNと診断し,単純血漿交換療法を開始した.しかし,第25病日に肺胞出血をおこし人工呼吸管理となり,この時点で臨床的にGoodpasture症候群と診断した.その後もステロイドパルス療法,血液透析療法,血漿交換療法による集学的治療を継続することにより肺病変も改善し,抗GBM抗体を順調に下げることができ救命しえた.しかし,腎機能は改善せず,現在,近医で維持透析を施行中である.ステロイド薬は継続投与されているが病状は安定している.本症例は,SLE患者に抗GBM抗体陽性で肺胞出血をきたしたGoodpasture症候群を発症し血漿交換療法を行い救命しえた稀少な症例と考え報告する.
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