日本透析医学会雑誌
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原著
透析糖尿病患者におけるミチグリニド長期投与の有用性と安全性の検討
小松 まち子南 幸水口 潤川島 周島 健二
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2008 年 41 巻 7 号 p. 429-435

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抄録

維持血液透析中の糖尿病患者28名(前投薬なし5名,ほかの糖尿病薬からの変更23名)にミチグリニドを1年以上継続投与し,ミチグリニド長期投与の有効性と安全性を検討した.前治療別のミチグリニドの有効性の検討:前投薬のない群(5例),ナテグリニド(9例),少量のインスリン(2例)およびボグリボース(1例)からの変更では良好なコントロールが得られたが,スルホニル尿素薬からの変更では良好なコントロールが得られにくかった.ミチグリニド長期投与の有効性と安全性の検討:観察終了時点(中央値26か月:範囲15~28か月)でのグリコアルブミン値(GA)≦21%をコントロールGood,21<GA<24%をFair,GA≧24%をPoorとし,各群間で患者背景,ミチグリニド投与量,低血糖の頻度を比較した.コントロールGood群は13名(46.4%),Fair群7名(25.0%),Poor群8名(28.6%)で,GAの推移(投与前→観察終了時点)は,各々20.8±2.6→18.3±1.8%,23.1±2.4→22.8±0.8%,24.3±4.1→27.2±3.5%であった.ミチグリニド平均投与量は,Good群13.6±9.7,Fair群15.7±9.6,Poor群25.5±5.1mg/日とPoor群の投与量がGood群にくらべて有意に多かった(p<0.05).各群間に年齢,糖尿病罹病歴,透析歴,BMIおよび前治療法に有意差はなかった.低血糖は,Good群7⁄13例,Fair群3⁄7例,Poor群4⁄8例に,主に透析後に認められたが,重症の低血糖は認めなかった.以上より,ミチグリニドは,低血糖に注意しながら慎重に投与すれば,透析糖尿病患者にも有用かつ安全に使用できる薬剤である.

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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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