日本透析医学会雑誌
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透析技術
透析液中の細菌に対する各種メンブレンフィルター法の測定精度の検討
楢村 友隆佐藤 和弘堀内 賢一吉田 周理井出 孝夫
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2009 年 42 巻 1 号 p. 85-90

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抄録
透析液の製造工程管理において,細菌の汚染状態を把握し対策を講じることが,透析患者への悪影響を防ぐために重要である.細菌検出の手段として,高感度に細菌の汚染状態を把握するためにはメンブレンフィルター法(以下,MF法)を用いて検査することが必要である.今回われわれは,MF法製品である日本ポール社製37mmクオリティモニターおよびマイクロファンネルを,R2A/TGE寒天および液体培地使用下にて用いた.標準菌2菌種(Pseudomonas fluorescence, Methylobacterium extorquens)と臨床現場の透析液中から単離された1菌種(Wild type)のそれぞれを透析液中に播種した試験液を用いて,各種MF法における細菌の測定精度を,細菌コロニー数の計測結果を基にして,平板塗抹法(R2A寒天培地)と比較した.その結果,今回用いたMF法製品と培養方法との組み合わせの全てが,基準となるR2A寒天培地上のコロニー数(Pseudomonas fluorescence(59.3cfu/枚),Methylobacterium extorquens(62.5cfu/枚),Wild type(38.6cfu/枚))に対して,細菌回収率に必要な70%以上を上回っており,良好な回収率を得ることが可能であった.今回評価したMF法製品は,各工程の細菌管理に有効なツールとして十分に活用できるものと考えられた.
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© 2009 一般社団法人 日本透析医学会
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