症例は74歳女性.糖尿病性腎症による慢性腎不全で平成14年より維持血液透析(HD)を受けていた.HD間体重増加が中1日で平均3kg,中2日で平均5kgと多くHD時血圧低下が著明で1回のHDでは除水不十分なため,HD+限外濾過(ECUM)を最大週5回施行し週末にドライウェイトに達する状態であった.そのため,除水補助目的で腹膜透析(PD)併用を開始した.PD処方はイコデキストリン2Lを2分割投与し平均1日800gの除水が得られた.PD併用後のHD間体重増加は中1日で平均1kg,中2日で平均1.5kgとなり週3回のHD(ECUM)でコントロールできるようになった.週あたりのHD(ECUM)時間は30時間から9時間へと著明に短縮し患者の生活の質も上昇した.血液データでは,小分子物質のみならず,β2マイクログロブリンの低下を認めた.一方,PD併用前は非HD時の血圧が高く心保護を考えアンジオテンシン受容体拮抗薬やβブロッカーを投与していたが,HD(ECUM)中の血圧低下を認めてからは投与を中止していた.しかし,PD併用後はHD(ECUM)中の血圧低下が改善し再開することができた.体重増加の著しいHD困難症患者では除水補助目的でのPD併用も選択肢の一つと考えられる.