日本透析医学会雑誌
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症例報告
血液透析間体重増加の著しい透析困難症に腹膜透析の併用が有効であった1例
岡本 貴行森本 聡森田 龍頼万木 孝富北村 哲也福井 政慶上田 邦彦中嶋 章貴
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2009 年 42 巻 4 号 p. 333-337

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抄録

症例は74歳女性.糖尿病性腎症による慢性腎不全で平成14年より維持血液透析(HD)を受けていた.HD間体重増加が中1日で平均3kg,中2日で平均5kgと多くHD時血圧低下が著明で1回のHDでは除水不十分なため,HD+限外濾過(ECUM)を最大週5回施行し週末にドライウェイトに達する状態であった.そのため,除水補助目的で腹膜透析(PD)併用を開始した.PD処方はイコデキストリン2Lを2分割投与し平均1日800gの除水が得られた.PD併用後のHD間体重増加は中1日で平均1kg,中2日で平均1.5kgとなり週3回のHD(ECUM)でコントロールできるようになった.週あたりのHD(ECUM)時間は30時間から9時間へと著明に短縮し患者の生活の質も上昇した.血液データでは,小分子物質のみならず,β2マイクログロブリンの低下を認めた.一方,PD併用前は非HD時の血圧が高く心保護を考えアンジオテンシン受容体拮抗薬やβブロッカーを投与していたが,HD(ECUM)中の血圧低下を認めてからは投与を中止していた.しかし,PD併用後はHD(ECUM)中の血圧低下が改善し再開することができた.体重増加の著しいHD困難症患者では除水補助目的でのPD併用も選択肢の一つと考えられる.

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© 2009 一般社団法人 日本透析医学会
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