日本透析医学会雑誌
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42 巻 , 4 号
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2009年版 日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン」
総説
原著
  • 佐々木 敏作, 丸山 禎之, 和田 茂
    2009 年 42 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 2009/04/28
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル フリー
    近年アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は透析患者の降圧治療に広く用いられている.これらARBのうちテルミサルタンは糖代謝に良好な影響を与えるとの報告がいくつかなされているが,いずれの報告も腎障害を合併していない患者を対象としている.そこで,今回われわれは他のARBを内服中の2型糖尿病を合併した維持血液透析患者19名を対象に,そのARBをテルミサルタンに変更し,24週間の糖代謝について検討した.群全体としては随時血糖,HbA1c,血中C-ペプタイドに変化はみられなかった.しかし,HbA1cが6.0%以上の血糖コントロール不良群12名に限定すると,薬剤変更前のHbA1cは7.07±0.22%であったが,テルミサルタン投与後24週後で6.61±0.24%と有意な低下を認めた.同様の血糖コントロール不良群でグリコアルブミン(GA)を検討したところ,変更前26.8±3.87%に対し,変更12週後で24.0±4.68%,24週後で24.2±4.57%と有意に低下した.アディポネクチン濃度にはテルミサルタン投与後有意な変化は認めなかったが,投与後24週の時点でのアディポネクチンの変化率とGAの変化率では負の相関関係がみられた.以上より,コントロール不良の糖尿病を合併した血液透析患者においては,他のARBよりテルミサルタンに変更後,糖代謝の改善が認められ,その効果はPPARγの活性化によるインスリン感受性の上昇による可能性も考えられた.
症例報告
  • 岡本 貴行, 森本 聡, 森田 龍頼, 万木 孝富, 北村 哲也, 福井 政慶, 上田 邦彦, 中嶋 章貴
    2009 年 42 巻 4 号 p. 333-337
    発行日: 2009/04/28
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性.糖尿病性腎症による慢性腎不全で平成14年より維持血液透析(HD)を受けていた.HD間体重増加が中1日で平均3kg,中2日で平均5kgと多くHD時血圧低下が著明で1回のHDでは除水不十分なため,HD+限外濾過(ECUM)を最大週5回施行し週末にドライウェイトに達する状態であった.そのため,除水補助目的で腹膜透析(PD)併用を開始した.PD処方はイコデキストリン2Lを2分割投与し平均1日800gの除水が得られた.PD併用後のHD間体重増加は中1日で平均1kg,中2日で平均1.5kgとなり週3回のHD(ECUM)でコントロールできるようになった.週あたりのHD(ECUM)時間は30時間から9時間へと著明に短縮し患者の生活の質も上昇した.血液データでは,小分子物質のみならず,β2マイクログロブリンの低下を認めた.一方,PD併用前は非HD時の血圧が高く心保護を考えアンジオテンシン受容体拮抗薬やβブロッカーを投与していたが,HD(ECUM)中の血圧低下を認めてからは投与を中止していた.しかし,PD併用後はHD(ECUM)中の血圧低下が改善し再開することができた.体重増加の著しいHD困難症患者では除水補助目的でのPD併用も選択肢の一つと考えられる.
  • 清水 阿里, 武井 卓, 青木 明日香, 杉浦 秀和, 秋葉 隆, 新田 孝作
    2009 年 42 巻 4 号 p. 339-344
    発行日: 2009/04/28
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル フリー
    エリスロポエチン不応性貧血にダルベポエチンαが奏効した赤芽球癆,副腎機能不全合併の長期透析患者の1例を経験した.症例はIgA腎症を原疾患とする慢性腎不全のため1988年5月(45歳)より血液透析導入,透析中の64歳男性である.2000年(57歳),2005年(62歳)に腎癌を合併し,両側の腎臓を摘出.以後も外来維持透析されていたが,低血圧および貧血の進行が認められたため,精査加療目的に2007年9月当科入院となった.入院時Hb 5.2g/dL,Ht 15.9%で,貧血の原因については術後の副腎機能不全に加え,骨髄生検の結果,赤芽球系の減少が認められ,赤芽球癆と診断された.入院後,輸血を頻回に行い,エポエチンβ 9,000単位/週からダルベポエチンα 120μg/週投与へ変更したところ,Hb 8.1g/dL,Ht 24.4%まで改善した.本症例は長期透析患者に合併したエリスロポエチン不応性貧血および,両側腎摘出術後の副腎機能不全であり,診断,加療ともに難渋した1例であった.エリスロポエチン抵抗性貧血におけるダルベポエチンα投与の有効性についても考察する.
  • 井上 剛志, 明山 達哉, 川上 隆, 吉川 元祥
    2009 年 42 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 2009/04/28
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル フリー
    血液透析導入時にヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を発症し,その後ヘパリンの再投与に成功した症例を経験したので報告する.症例は68歳女性.以前より慢性腎不全を指摘されており,近医に通院していた.末期腎不全にて当院紹介受診し,血液透析導入目的で入院した.入院後,内シャント造設術を施行した.シャント血流は良好であった.透析の抗凝固剤として未分画ヘパリンを使用した.第1回透析から第3回透析までは著変なく施行できた.第4回,第5回透析では若干の静脈圧の上昇を認めたが,明らかな回路内凝固は認めなかった.第6回透析では静脈圧の上昇とチャンバー・ダイアライザーの凝血を認めた.ヘパリン量の不足が原因と考え,ヘパリンの増量を行ったが改善を認めなかった.透析前後で血小板数の減少があり,HITを疑い,抗血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)を測定した.抗凝固剤をメシル酸ナファモスタットに変更後,回路内凝固と血小板減少は改善した.HIT抗体が陽性であったため,HITと診断し,抗凝固剤をアルガトロバンに変更し,開始時10mg,持続25mg/時で血液透析を行った.以降は回路内凝固を認めず,また,血小板減少も認めなかった.その間,血栓症の合併はなかった.経時的にHIT抗体価を測定し,HIT抗体価が陰性化したことを確認した.ヘパリンの再投与を試みたところ,回路内凝固や血小板減少を認めることなく,血液透析を施行することができた.HIT抗体価の再上昇もなく,現在に至っている.
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