日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者を対象としたダルベポエチン アルファ(ネスプ®)週1回1年間静脈内投与による腎性貧血および医療経済への効果
黒田 泰二奥村 宜士竹岡 浩也西岡 敬祐池田 昌樹近藤 麻紀子和泉 雅章倭 正也金光 律和大植 麻衣福永 惠大瀬戸 奨
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2009 年 42 巻 6 号 p. 435-440

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抄録

血液透析(HD)患者157例にダルベポエチン アルファ(ネスプ®)を1年間静脈内投与し,その有効性,安全性および医療経済について検討した.透析患者のHb値が目標Hb濃度(10g/dL~11g/dL)に維持できるように本剤10μg,15μg,20μgを週1回静脈内投与した.しかしHb値が11g/dL以上になれば休薬した.また鉄関連検査値より鉄欠乏と診断(TSAT20%以下,血清フェリチン濃度100ng/mL以下)した場合は含糖酸化鉄を透析ごとに10回ゆっくり静注した.経済効果を調べるために1年間投与した本剤とrHuEPO製剤の総薬価額を集計し比較検討した.月別ごとのHb濃度推移値は9.68±1.11g/dL~10.58±1.56g/dLで概ね目標Hb濃度範囲内値であった.1回投与量は10μgが全体の57%と最も多く,15μgが23%,20μgが20%であり,休薬期間は1.5±0.4週であった.本剤による明らかな副作用は認められなかった.1年間のrHuEPO製剤使用薬価額は約5,158万円,本剤は約3,004万円であった.以上より本剤はHD患者に週1回10~20μg長期静脈内投与にてHb値が目標Hb濃度内に維持され,副作用がなく,かつ有意な医療経済効果が期待できる薬剤であることが示唆された.

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© 2009 一般社団法人 日本透析医学会
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