日本透析医学会雑誌
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短報
カフ付き皮下トンネル型カテーテル出口部の新しいケア方法
―消毒薬を使わない,水道水によるシャワー洗浄法―
柴原 宏柴原 奈美小松 麻衣子齋藤 志津小尾 学須田 春香森田 美恵子斎藤 由紀子鈴木 香子高橋 進
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2010 年 43 巻 2 号 p. 189-193

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抄録

筆者らは,カフ付き皮下トンネル型カテーテル(以下TCC)出口部の皮膚の正常化とカテーテルケアの簡易化を目的とし,カテーテル出口部に直接水道水をかけて洗い流し,いずれの消毒薬も使用しないカテーテルケアを考案し臨床応用を試みた.2005年から2007年で相模原協同病院と橋本みなみ内科においてTCC(Soft-Cell)を使用していた症例のうち,今回のケア方法に同意が得られた5症例を対象とした.通常の水道水を使用した微温湯(水温約40℃)をシャワーボトルに入れ,ここからのシャワー水を出口部に直接浴びせながら,綿棒などで出口部の汚れや付着物を除去した.洗浄後,未滅菌のガーゼやタオルなどで水分をふき取り,そのまま薬物消毒を行わずに未滅菌のガーゼ保護あるいは市販のテープ貼付のみとした.自宅では入浴時に浴室のシャワーを使用し同様のケアを行った.このカテーテルケアの有効性と安全性について検討するために,透析ごとの皮膚状態の肉眼的観察・写真撮影をし,血液検査,出口部と血液の細菌培養を行った.対象となった5症例は男性3名,女性2名,年齢は63歳から84歳(平均±標準偏差73.0±8.1)でシャワー洗浄期間は36日から210日(平均±標準偏差107.4±75.1)であった.シャワー洗浄開始後全例で出口部の皮膚状態は改善した.1例で炎症反応の急激な上昇がみられ,出口部の皮膚状態は良好で出口部感染の兆候はみられなかったが,他院に転院しカテーテル抜去となった.出口部皮膚からは複数の弱毒菌が検出されたが血液培養上では菌の検出はみられなかった.以上により今回のカテーテルケアは臨床的に安全で有効な方法であると考えられた.

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© 2010 一般社団法人 日本透析医学会
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