抄録
症例は68歳,男性.26歳時,両膝関節と両足関節の疼痛,高尿酸血症により痛風と診断された.その後,5年に1~2回程度の痛風発作を繰り返していた.腎機能は徐々に低下し,尿毒症に進展,血清Crは6.9 mg/dL,血清UAは10.5 mg/dLと上昇した.2006年5月に入院し,血液透析を開始した.血液透析導入時,痛風結節を全身に認めた.血液透析4回目以降,両膝関節近傍と右肘関節遠位部の痛風結節に自発痛,圧痛,熱感を,また,全身症状として発熱が透析後に出現した.CRPは,0.65から12.8 mg/dLに上昇した.痛風発作と考えて,NSAIDを投与したが十分な効果は得られなかった.そこで毎回の血液透析開始直前にコルヒチン0.5 mgの経口投与を行ったところ著効を示し,全身症状,関節症ともに軽快した.透析開始12か月後には,疼痛は完全に消失し,痛風結節は縮小した.痛風結節を伴う患者の血液透析導入は,痛風結節中の尿酸結晶を融解し,繰り返す関節炎の原因になる.高尿酸血症と腎機能障害との関連性および血液透析療法における痛風発作と尿酸管理について報告する.