日本透析医学会雑誌
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原著
パルスドプラ法による血流量測定の誤差要因についての検討
前野 七門中西 正一郎太田 なおみ大町 和太田 隆祐宮西 智和東雲 大輔坂口 麻友美川上 知映石川 隆太橋本 晃佳作田 剛規松村 欣也小柳 知彦
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2010 年 43 巻 8 号 p. 641-647

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抄録

パルスドプラ法による血流量測定の誤差要因について検証を行った.【実験1】ドプラ入射角が測定値に与える影響を検討した.2種類の内径(5 mm,6 mm)のポリウレタンチューブ回路内に,ヘモグロビン濃度10 g/dLに調整したヒト血液を実血流量250~2,000 mL/minの範囲で環流させた.General Electric社Logic Book XPおよび10 MHz,4.5 MHz複合型リニアプローブを用い,角度補正後ドプラ入射角0度,10度で各血流量の測定実験を行った.【結果1】補正後ドプラ入射角0度において実血流に対する測定値の平均値の誤差の割合(誤差率)は8.9±12.9%で,回路内径による差はなかった.同10度での誤差率は16.3±9.8%で,回路内径6 mmでは同5 mmにくらべ平均15%過小評価されていた.【実験2】超音波Bモードでの血管径測定方法について検討した.維持透析患者30例のシャント造影施行時に,Bモード長軸血管最大割面にて橈骨動脈最大拡張時の近位側および遠位側血管壁の内膜前縁間の距離(前縁―前縁法),および近位側の内膜後縁―遠位側の内膜前縁間の距離(後縁―前縁法)を血管内径として測定し,血管造影法と比較した.【結果2】超音波法の造影法に対する測定値誤差は,前縁―前縁法で0±0.2 mm(絶対値0.2±0.2 mm),後縁―前縁法で-0.3±0.2 mm(絶対値0.3±0.2 mm)であった.【結論】パルスドプラ法による血流測定時の誤差を抑制するために,角度補正後ドプラ入射角は0度とし,血管径は動脈拡張時に近位側および遠位側の内膜前縁間距離を測定することが望ましい.

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© 2010 一般社団法人 日本透析医学会
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