日本透析医学会雑誌
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原著
99mTc-MIBIシンチグラフィの有用性
―システマティックレビューおよびメタアナリシス―
若杉 三奈子風間 順一郎成田 一衛
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2011 年 44 巻 1 号 p. 65-72

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抄録

【背景】二次性副甲状腺機能亢進症の術前局在診断に,99mTc-methoxyisobutylisonitrileシンチグラフィ(以下99mTc-MIBIと略す)が日本国内で汎用されている.その理由は,本法が他の画像診断に比較して優れているという定評が臨床現場にあるからであるが,十分証明されてはいない.【目的】日本の二次性副甲状腺機能亢進症患者で副甲状腺摘出腺数をゴールドスタンダードとした場合,99mTc-MIBIの感度を明らかにする.【研究デザイン】システマティックレビューおよびメタアナリシス.【データ源】PubMed,医中誌Web,手検索.【研究の選択】適格基準:日本で副甲状腺摘出術を行った二次性副甲状腺機能亢進症患者で,術前局在診断に99mTc-MIBIを施行.除外基準:原発性副甲状腺機能亢進症患者データと区別不能,99mTc-MIBIの撮影方法が不明,初回手術ではない,症例報告,総説,英語以外の外国語論文,論文化されていない抄録.【アウトカム】主要アウトカムは摘出腺数に対する99mTc-MIBIの感度,副次アウトカムは他の術前画像診断の感度.【結果】ケース・シリーズ8論文,症例数合計96名,摘出副甲状腺数348腺が該当し,99mTc-MIBIの感度は72%[95%信頼区間=67~77%]であった.他の術前画像診断の感度は,US 68%(163/238腺),CT 40%(44/111),MRI 65%(46/71),201TlCl/99mTcサブトラクション法40%(57/143)であった.【考察】諸外国の報告では99mTc-MIBIの感度が低いものもある.感度は疾患の重症度に影響を受けるため,各国の臨床現場で手術適応が異なっていることが影響している可能性がある.【結論】日本の二次性副甲状腺機能亢進症患者では,99mTc-MIBIは高い感度を有する.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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