抄録
目的:慢性透析患者(以下,透析患者)の医療・療養における意思決定希求度・情報希求度の現状と,医療・療養における意思決定場面においての医療者の関わりを透析患者がどう感じているかを明らかにすることで,透析患者の意思決定を支援する医療者の役割についての示唆を得る.方法:S病院・Sクリニック外来に通院中の透析患者で,研究の同意が得られた63名を対象とし自記式質問紙調査を行った.意思決定希求度・情報希求度の測定はEndeらが開発したAutonomy Preference Index(以下,API尺度)をOhkiらが邦訳版に作成したものを使用した.また,意思決定場面における医療者の関わりについては研究者がCharlesらの提唱するThe Shared Treatment Decision-Making Modelをもとに独自に作成した質問項目(以下,SDM質問項目)を用いた.なお,本研究は医療法人衆和会桜町病院倫理委員会の承認を得て実施した.結果と考察:1.API尺度により透析患者は医療における意思決定場面において,医師に決定を委ねたいと思う傾向にあることが明らかになった.2.透析患者の意思決定希求度は年齢・職業の有無により有意差が生じることが明らかになった.3.SDM質問項目により,医療者から十分な情報の提供と不安や悩みの傾聴が行われた透析患者は医療者との信頼関係の構築ができ,透析患者の納得のいく意思決定が行われることが推察された.結論:意思決定場面において医療者が慢性透析患者の不安や悩みを十分に傾聴し共感することが,医療者と透析患者との信頼関係を形成する上で不可欠であるということ,また,透析患者が決定において独断と偏見の中で誤った決定を下したり後悔の念を抱いたりすることを防ぐために必要であることが示唆された.