日本透析医学会雑誌
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症例報告
原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウムクリーゼに対しゾレドロネートが奏効した末期腎不全患者の1例
角谷 裕之伊藤 大介森 大輔平井 康裕森脇 琢磨松田 潤村田 尚子竹治 正展山内 淳
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2011 年 44 巻 4 号 p. 313-318

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抄録

高カルシウム(Ca)クリーゼは重篤で生命の危険を伴う電解質異常であり,原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism:PHPT)によるものが多数を占める.症例は80歳,男性.糖尿病および慢性腎不全にて外来加療中.2009年夏に食欲低下,全身倦怠感を自覚.1か月後,傾眠傾向と構音障害が出現し当院救急外来を受診.慢性腎不全の増悪と著明な高Ca血症(16.3mg/dL:アルブミン補正値)を認めたため入院.血液透析導入とともにエルカトニンを投与したが,徐々に効果減弱.アレンドロネートの内服を開始したが効果不十分であった.そこでゾレドロネート4mgの点滴投与を行ったところ,血清Ca値は正常化し症状も改善した.臨床経過および画像検査にて原発性副甲状腺機能亢進症と診断.外科的に切除し臨床所見は改善した.慢性腎不全に原発性副甲状腺機能亢進症による高Caクリーゼを合併するケースは比較的まれである.透析患者の高Caクリーゼに対してゾレドロネートを使用した報告はないが,本例では副作用の出現なく有効に使用可能であったことから,今後選択しうる治療法の一つであると考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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