日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
原著
透析患者における皮膚水分量の特性ならびに痒みとの関係
野原 ともい永野 伸郎丸山 雅美石田 秀岐関口 博行野原 惇田ヶ原 綾香肥田 実里星 綾子溜井 紀子高木 智恵子伊藤 恭子安藤 哲郎筒井 貴朗安藤 義孝新田 孝作佐倉 宏小川 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 47 巻 10 号 p. 637-646

詳細
抄録

【目的】透析患者に高頻度で認められる瘙痒症および皮膚乾燥症の特性ならびに両者の関係を明らかにする. 【対象と方法】血液透析患者450名において, 痒みに関するアンケート調査を実施するとともに, 前腕内側部および腰背部の皮膚水分量を測定した. 【結果】全体の65.6%が痒みを自覚していた. 腕および背中の水分量の中央値は, それぞれ30.9%および31.2%であり, 両者間に正の単相関関係が認められた. 一方, 腕および背中の水分量と, 性別, 年齢, 透析歴, 糖尿病の有無, 痒みの有無, 痒みの頻度, 痒みの程度 (VAS値), 睡眠障害の有無, 治療の有無, 外用薬の有無, 治療満足度との間に関連性は認められなかった. 重回帰分析の結果, 痒みの有無と関連する因子として, 男性, 糖尿病, 透析後未補正血清Caが, また, 水分量と関連する因子として, 透析後血清Na, 透析前補正血清Caが選ばれた. 【結語】血液透析患者において, 皮膚水分量は瘙痒症の有無および程度と関連しない.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top