2014 年 47 巻 2 号 p. 107-117
2009年より日本透析医学会統計調査委員会の年末全国調査の一環として日本腹膜透析医学会の協力のもと「腹膜透析(PD)レジストリ」が開始されている.今回2012年末に行われた調査結果からPD患者の現状を報告する.対象は2012年末全国調査で報告されたわが国のPD患者.血液(濾過)透析(HD(F))等との併用状況,透析液交換方法,自動腹膜透析装置(APD)使用状況,腹膜炎および出口部感染発症率などについて記述的解析を行った.2012年末の施設調査では,PD患者数は9,514人で2011年末と比較し128人減少し,全透析患者に占める割合も3.1%と0.1%減少した.腹膜カテーテルを残している洗浄患者347人,新規PD導入するも年内脱落した患者175人,HD(F)等とPDを併用している患者1,932人であった.HD(F)等併用療法の割合は1年未満で4.8%なのに対し,1~2年未満で9.2%,2~4年未満で16.3%,4~8年未満で32.0%,8年以上で47.5%とPD歴が長くなるにつれて高くなっていた.透析液交換方法に関しては完全手動交換のみを行うPD患者は29.8%,紫外線もしくは熱式無菌接合装置によるバッグ交換デバイスを用いているPD患者はそれぞれ54.7%,13.9%であった.APDの使用割合はPD歴1年未満で43.4%であったのに対し,PD歴2年以上ではPD歴が長くなるほどAPD使用割合は減少していた.腹膜炎発症率は平均0.22回/1患者・年であった.出口部感染発症率は平均0.36回/1患者・年であった.