日本透析医学会雑誌
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原著
腹膜透析カテーテルの超音波像に関する基礎的検討
鎌田 正矢内 佑子小口 綾貴子朱 星華山内 佳子志原 広美落合 美由希山本 耕治郎緒方 愛衣富田 真弓家原 典之
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2015 年 48 巻 2 号 p. 117-122

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抄録
腹膜透析 (PD) カテーテルの皮下トンネル感染の補助診断に超音波検査が応用できることが知られているが, 検査手技に関する詳細な報告はない. 腹膜透析カテーテルの詳細な超音波像を明らかにするためにシミュレーションを行った. まず, シミュレーター内にカテーテルを設置しリニアプローブ付き超音波装置で観察したところ, カテーテル短軸像は4つの点ないし弧線, 長軸像は4本の平行な直線として描出された. カフ部は下方に音響陰影を伴う高エコー帯として描出された. 次にトンネル感染のシミュレーションとしてカテーテル周囲に水の層を作成したところ, カテーテル周囲に低エコー帯を認めた. 短軸像描出時にプローブを約12°以上傾けると低エコー帯の検出は困難となった. 以上の所見は実際の症例でも認められた. トンネル感染時にはカテーテル周囲に低エコー帯が出現することが知られているが, 短軸像描出時にはプローブの角度を調整し, 常にカテーテルの輪郭を描出しながら走査することが手技上重要である. トンネル感染の超音波診断基準については今後症例の集積が必要であるが, シミュレーターの使用はPDカテーテルの基本的な超音波像を知るうえで有用であった.
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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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