日本透析医学会雑誌
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48 巻 , 2 号
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第59回日本透析医学会ワークショップより
原著
  • 下出 眞知子, 吉永 充代, 林 縝治, 鈴木 はる江, 雑賀 保至
    2015 年 48 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    維持透析患者のたんぱく摂取基準量は1.0~1.2g/kg/日 (2007年度基準) であるが, たんぱく摂取量が増えると血清リンが上昇する問題が生じる. 本研究は外来通院透析患者77例の標準化蛋白異化率nPCRの1年間平均をたんぱく摂取量とし, 0.6~0.8未満 (L群), 0.8~1.0未満 (M群), 1.0以上 (H群) の3群で血液データ, 栄養状態, 精神的負担度を比較し, 透析患者のたんぱく摂取量を心身健康科学の視点から検討した. 結果, 血清アルブミン, BMI, エネルギー摂取量および精神的負担度の不安尺度と健康生成志向尺度は3群間に差はなかった. 血清リン, カリウム, 尿素窒素はnPCRの低い群ほど有意に低く, KDQOL-SFでは社会生活機能, 心の健康, 腎疾患の日常生活への影響, 腎疾患による負担においてL群で有意に良好であった. nPCR 1.0未満は, 栄養状態を損なわず, かつ精神的負担が少なく, 血清リンを抑えられるたんぱく摂取量と考えられた.
  • 泉 治紀, 塩田 潤, 東川 晋語, 笠原 仁, 多川 斉
    2015 年 48 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    血液透析 (HD) 患者でPHA刺激による末梢血単核細胞のインターフェロン (IFN) -γ mRNA発現減弱の報告がある. 亜鉛は免疫機能に関与しており, 亜鉛欠乏HD患者への亜鉛投与はIFN-γ産生能を増強する可能性がある. 本研究では血清亜鉛低値のHD患者14例に亜鉛 (34mg/日) を経口投与し, IFN-γの産生細胞数および産生量を, それぞれT-スポット®. TBキットの陽性コントロール画像から得たスポット数および平均グレー値を用いて推測した. スポット数は4週後変化はなかったが12週後減少した. 平均グレー値は4週後では減少したが8週後, 12週後と増加した. 亜鉛非投与患者20例では4週間の経過で, スポット数減少, 平均グレー値増加を示した. 以上より, HD患者に対する4週間の亜鉛投与はIFN-γ産生能を増加させ自然免疫を増強する可能性があるが, 4週間を超えた亜鉛投与は逆にIFN-γ産生能を減弱させるおそれがある.
  • 鎌田 正, 矢内 佑子, 小口 綾貴子, 朱 星華, 山内 佳子, 志原 広美, 落合 美由希, 山本 耕治郎, 緒方 愛衣, 富田 真弓, ...
    2015 年 48 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    腹膜透析 (PD) カテーテルの皮下トンネル感染の補助診断に超音波検査が応用できることが知られているが, 検査手技に関する詳細な報告はない. 腹膜透析カテーテルの詳細な超音波像を明らかにするためにシミュレーションを行った. まず, シミュレーター内にカテーテルを設置しリニアプローブ付き超音波装置で観察したところ, カテーテル短軸像は4つの点ないし弧線, 長軸像は4本の平行な直線として描出された. カフ部は下方に音響陰影を伴う高エコー帯として描出された. 次にトンネル感染のシミュレーションとしてカテーテル周囲に水の層を作成したところ, カテーテル周囲に低エコー帯を認めた. 短軸像描出時にプローブを約12°以上傾けると低エコー帯の検出は困難となった. 以上の所見は実際の症例でも認められた. トンネル感染時にはカテーテル周囲に低エコー帯が出現することが知られているが, 短軸像描出時にはプローブの角度を調整し, 常にカテーテルの輪郭を描出しながら走査することが手技上重要である. トンネル感染の超音波診断基準については今後症例の集積が必要であるが, シミュレーターの使用はPDカテーテルの基本的な超音波像を知るうえで有用であった.
  • 蜂矢 朝香, 野嵜 智也, 渡邊 智治, 稲葉 慎一郎, 倉田 圭
    2015 年 48 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    【背景】経皮経管的血管形成術 (PTA) 中の疼痛管理は問題となる. 【対象・方法】2013年8月から2014年5月の間, PTA施行時44回 (22名) にミダゾラムを投与し, 使用以前・投与後の患者と検査医師評価の疼痛緩和に対するVAS, 合併症, 投与量などを検討した. 【結果】ミダゾラム投与で有意に疼痛緩和が得られ (82±18mm vs. 11±32mm ; p<0.001), ほぼ全員が次回投与を希望した. 患者より医師評価のほうがVASは有意に高値であった (38±38mm vs. 15±25mm ; p<0.01). 平均投与量0.06±0.02mg/kgで, 睡眠薬内服者の投与量が有意に多かった (p<0.05). 合併症は舌根沈下と軽度動脈血酸素飽和度低下9回, 不穏2回で全例下顎挙上やフルマゼニルで改善した. 【まとめ】透析患者でもミダゾラムは安全に使用でき, 外来PTA時疼痛緩和に有用である.
症例報告
  • 吉田 省造, 岡田 英志, 土井 智章, 中島 靖浩, 鈴木 浩大, 田中 卓, 福田 哲也, 北川 雄一郎, 安田 立, 水野 洋佑, 宮 ...
    2015 年 48 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代の男性, キノコ狩りに行きキノコを焼いて食べた翌日に下痢・嘔吐などの消化器症状を自覚し近医を受診. 血液検査にて肝逸脱酵素上昇を認め入院となった. 翌日の採血で肝逸脱酵素の著明な上昇 (AST 5,000台, ALT 5,000台) を認め, 当院に搬送となった. 問診によりドクツルタケ摂取による肝障害を疑った. 入院当日より肝性脳症を認め, 昏睡型急性肝不全と診断. 挿管・人工呼吸管理として, 肝不全治療と同時に毒素除去, 高分子除去を目的として急性血液浄化療法を行った. 入院5日後に肝性脳症は改善し呼吸状態は良好で抜管, 経過良好にて入院9日後に転院となった. ドクツルタケ中毒における血液浄化療法は否定的な意見が多いが, 今回は肝不全を呈したドクツルタケ中毒に対し, 血液浄化療法を行い救命し得た. ドクツルタケの中毒を疑った場合には, 早急な血液浄化療法が有効である可能性が高いと考えられた.
  • 木村 庄吾, 曽我 由夏, 大須賀 健, 立岩 優, 山中 一輝, 半田 直久, 坪内 俊之, 玉木 英俊, 神谷 文彦, 鈴木 幸二, 佐 ...
    2015 年 48 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性. 慢性糸球体腎炎による末期腎不全のため, 1996年に血液透析を導入しヘパリンを使用して透析を継続していた. 2013年5月透析日に左足趾壊死を認め, 血小板数4.9万/μL (前月18.9万/μL) , CK 1,074 U/L, 造影CTで膝窩動脈まで血流に問題なく後脛骨および足背動脈はdopplerで確認可能であり, 趾端レベルでの閉塞と判断した. HIT抗体は強陽性であり下肢急性動脈閉塞症を合併したHIT-Ⅱ型と診断した. 入院後ヘパリンの中止とアルガトロバンの持続投与を開始し, 第4病日に下肢切断術を施行した. 以後血小板数は改善傾向を示すも経過中HIT抗体は陽性であり, アルガトロバンを使用しながら血液透析を行い第70病日に退院した. HIT-Ⅱ型は血液透析導入期に発症頻度が3~4%とされるが, 本例のような維持期の発症はまれとされ, 文献的考察を含め報告する.
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