抄録
症例は71歳女性. 慢性糸球体腎炎による末期腎不全のため, 1996年に血液透析を導入しヘパリンを使用して透析を継続していた. 2013年5月透析日に左足趾壊死を認め, 血小板数4.9万/μL (前月18.9万/μL) , CK 1,074 U/L, 造影CTで膝窩動脈まで血流に問題なく後脛骨および足背動脈はdopplerで確認可能であり, 趾端レベルでの閉塞と判断した. HIT抗体は強陽性であり下肢急性動脈閉塞症を合併したHIT-Ⅱ型と診断した. 入院後ヘパリンの中止とアルガトロバンの持続投与を開始し, 第4病日に下肢切断術を施行した. 以後血小板数は改善傾向を示すも経過中HIT抗体は陽性であり, アルガトロバンを使用しながら血液透析を行い第70病日に退院した. HIT-Ⅱ型は血液透析導入期に発症頻度が3~4%とされるが, 本例のような維持期の発症はまれとされ, 文献的考察を含め報告する.