日本透析医学会雑誌
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症例報告
ドクツルタケ中毒による昏睡型急性肝不全に対し急性血液浄化療法を併用し救命しえた1症例
吉田 省造岡田 英志土井 智章中島 靖浩鈴木 浩大田中 卓福田 哲也北川 雄一郎安田 立水野 洋佑宮﨑 渚森下 健太郎牛越 博昭竹村 元三白井 邦博豊田 泉小倉 真治
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2015 年 48 巻 2 号 p. 129-135

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抄録

症例は50歳代の男性, キノコ狩りに行きキノコを焼いて食べた翌日に下痢・嘔吐などの消化器症状を自覚し近医を受診. 血液検査にて肝逸脱酵素上昇を認め入院となった. 翌日の採血で肝逸脱酵素の著明な上昇 (AST 5,000台, ALT 5,000台) を認め, 当院に搬送となった. 問診によりドクツルタケ摂取による肝障害を疑った. 入院当日より肝性脳症を認め, 昏睡型急性肝不全と診断. 挿管・人工呼吸管理として, 肝不全治療と同時に毒素除去, 高分子除去を目的として急性血液浄化療法を行った. 入院5日後に肝性脳症は改善し呼吸状態は良好で抜管, 経過良好にて入院9日後に転院となった. ドクツルタケ中毒における血液浄化療法は否定的な意見が多いが, 今回は肝不全を呈したドクツルタケ中毒に対し, 血液浄化療法を行い救命し得た. ドクツルタケの中毒を疑った場合には, 早急な血液浄化療法が有効である可能性が高いと考えられた.

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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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