日本透析医学会雑誌
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原著
炭酸ランタン服用患者の胃粘膜へのランタン沈着の検討
浪江 智浜辺 定徳川冨 正治川冨 正弘小田 英俊中沢 将之西野 友哉
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2015 年 48 巻 3 号 p. 169-177

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抄録
炭酸ランタンを服用中の70例の血液透析患者の腹部単純CTにおける胃のhigh density area (HDA) について検討した. 70例に173回のCT検査を行ったが, そのうち明らかなHDAを認めたものは42例 (60%) に計67回 (39%) であった. HDAを認めた群 (42例) はHDAを認めない群 (28例) と比較して, 炭酸ランタンの服用期間が有意に長かった. また, 服用期間が長いほどHDAの程度が有意に強かった. 胃内視鏡検査を施行した4例の内視鏡所見は胃粘膜の白色肥厚が特徴的にみられ, 組織所見は胃粘膜固有層に沈着物を認め, マクロファージの浸潤と貪食像を認めた. 胃組織中のランタン定量分析では, ランタンの存在が確認された. 炭酸ランタンを服用中止して8か月後に経過をみた2例の腹部CTでは, HDAは残存し, 1例の胃内視鏡所見では胃粘膜の白色肥厚が残存した. 炭酸ランタンが胃粘膜に与える影響について, 注意深い観察が必要であると考えられた.
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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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